慢性胆嚢炎

胆嚢胆管

慢性胆嚢炎 chronic cholecystitis

胆嚢壁のほぼ全層に慢性の炎症性変化が生じる病態である。その原因には、急性胆嚢炎に引き続いて生じるものと、最初から慢性的に経過するものがある。

結石の合併率が高く、胆嚢壁は胆石により機械的に刺激され炎症細胞が浸潤して結合織が増生し、壁には線維性の肥厚が多くみられる。また、胆嚢壁に石灰化(陶器様)を生じることもある。

超音波所見

  1. 胆嚢は委縮する
  2. 壁は平滑に全周性肥厚する。まれに、不整な肥厚や3層構造を呈す
  3. 壁のエコーレベルは高エコーや低~高エコーが混在する
  4. 結石や胆泥が高頻度に合併する

超音波検査に役立つ疾患の特徴

腫瘤を満たす血液の量の変化により内部エコーが変化し、特徴的なサインを示す。

典型例では、全周性に肥厚した胆嚢壁はエコーレベルが高く描出され、比較的平滑な肥厚を示す。
→一方で、線維化により不整壁肥厚像やエコーレベルの低下を示すこともある。
→この場合は胆嚢癌との鑑別が困難である。

黄色肉芽腫性胆嚢炎は、胆嚢壁内に胆汁色素を含む組織球を主体とした黄褐色の肉芽腫を形成する稀な疾患で、慢性胆嚢炎の特殊型に相当する。
→胆嚢壁肥厚を特徴とする。
→超音波検査では胆嚢癌との鑑別は非常に困難である。

陶器様胆嚢 porcelain gallbladder

陶器様胆嚢は、慢性胆嚢炎の一種であり、胆嚢壁の一部あるいは全体を取り囲むように壁に石灰化が生じた状態で、陶器に似た様相を呈している。石灰化はリン酸カルシウムが主成分を占め、女性に多くみられる。

原因に関しては一定の見解はないものの。①胆嚢管の閉塞、②慢性的な炎症、③カルシウムの代謝異常、④結石などによる刺激、などがいわれている。

腹部単純Ⅹ線撮影では、胆嚢部に一致して鶏卵大の石灰化像がみられる。なお、胆嚢癌の合併もみられる。

超音波所見

  • 胆嚢壁に一致して円弧状の強いエコー(壁の石灰化)を認める。
  • 後方には広範囲な音響陰影がみられる
  • 内腔は音響陰影により描出できないこともある
  • 胆嚢壁の後面にも強いエコーがみられることがある
  • 胆嚢は委縮や変形を呈していることもある

日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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