腎細胞癌 renal cell carcinoma
腎尿細管上皮より発生する悪性腫瘍で、線維性被膜を有する。進行すると腎盂内あるいは腎外へ増殖するため多彩な形態を呈する。
臨床的3大主徴は、①無症候性血尿、②側腹部痛、③腫瘤の蝕知であり、これらは主に進行した腎細胞癌にもみられる症状である。
最近では、検診時や腹部スクリーニング時の超音波検査において、2cm以下の腫瘍が偶発的に発見される場合が多くなっている。
超音波所見
- 腫瘍の大きさや存在部位などにより、多彩なエコー像を呈する
- 腫瘍の内部エコー像は、腎皮質に比べて等~高エコーを呈する
- 腎表面(辺縁)の外側へ突出することが多く、中心部高エコーの圧排や分断・消失を認めることがある
- 辺縁低エコー帯を認めることが多い
- 大きい腫瘍では、内部に出血巣や壊死巣が出現する
- カラードプラ法では、豊富な腫瘤内血流を認めることが多い。また腫瘍を取り囲むように栄養血管が観察される
鑑別疾患
腎血管筋脂肪腫:エコーレベルは腎細胞癌より高い
腎嚢胞:境界部は明瞭、平滑で、内部エコーは無エコーに描出され、後方エコー増強を認める
腎盂腫瘍:中心高エコー内に存在し、水腎症を伴うことが多い。カラードプラ法では、腫瘍内血流は極めて少ない
観察ポイント
腎腫瘍を検出した場合は、まず腫瘍の形態、大きさ、内部構造、内部エコーレベル、辺縁低エコー帯の有無、後方エコーの有無についてチェックする。
また腎細胞癌は腎静脈内への発育傾向があるため、腎静脈のほか下大静脈内の腫瘍伸展の有無について観察することが重要である。さらにカラードプラ法にて腫瘍内血流vascularityの有無を調べる。腎細胞癌の血流信号検出率は、約80%以上hypervascularである。ただし、乳頭型腎癌は血流を認めなかったと報告されている。
日超検腹部超音波テキストを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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