肝嚢胞、肝膿瘍、石灰化

肝臓

肝嚢胞 liver cyst

肝臓内にできた水胞のこと。巨大な嚢胞の場合には腹部の圧迫感が出ることもある。

内部に出血を生じると充実性エコーを呈することがある。

多発する肝嚢胞の場合は、腎臓や卵巣を観察する。

輪郭の不整や充実エコーの有無を確認する。

肝表の小嚢胞は多重反射により描出不良となる。

PVシャント(門脈-肝静脈短絡)との鑑別にカラードプラで用いる。

  • エコー所見
    • 内部無エコー
    • 類円形
    • 境界明瞭
    • 外側陰影
    • 後方エコー増強

肝膿瘍 liver abscess

肝膿瘍には細菌性肝膿瘍とアメーバ性肝膿瘍がある。

細菌性肝膿瘍

門脈、胆道、肝動脈経由でグラム陰性菌(大腸菌など)が肝膿瘍を形成する。境界不明瞭で不整形な低エコー腫瘤で、内部エコーは初期は充実性または混合性で、時間の経過と共に嚢胞性へと変化がみられる。原因となる胆管炎や消化管炎症疾患、大腸癌にも気を付ける。

アメーバ性肝膿瘍

赤痢アメーバの経口感染で大腸を介して門脈経由で肝膿瘍を形成する。大部分が単発で内部に隔壁を伴うことが多い。

  • エコー所見
    • 境界不明瞭で不整形な低エコー腫瘤
    • 内部エコーは充実性から嚢胞性へ経時的変化
    • 後方エコー増強
    • ガス産生菌では内部にガスを反映した高輝度エコー
    • 細菌性肝膿瘍は多発性(約20%)、アメーバ性肝膿瘍は単発性(約95%)
    • 右葉に多い

肝内石灰化 calcification of the liver

肝実質内の音響陰影を伴ったストロングエコーとして描出される。肝内結石(末梢胆管内結石)との鑑別では肝内胆管の拡張の有無がポイントになる。大きな肝内石灰化では、異なったビューポイントからの観察によって後方の音響陰影内に腫瘍が隠れていないか確認が必要になる。

  • エコー所見
    • ストロングエコー
    • 音響陰影
    • 末梢側の肝内胆管の拡張を認めない
    • 多発することがある

検査をしていて思うこと

肝嚢胞は検査をしていて一番遭遇する疾患で見つけやすい疾患だと思います。なので始めたての頃は肝嚢胞で腫瘤の二方向きれいに描出する練習していました。はじめは横走査から縦走査へ90°プローブを回転させるのが難しく、よく見失っていました。

血管周囲にある嚢胞はカラードプラを用いて確認する。肝表面にある嚢胞は高周波プローブに持ち替えて観察する。

検査をしていて患者さんに「肝嚢胞はなぜできるのか」と聞かれることが何度かありますが、嚢胞ができる理由は分からないらしい。

膿瘍の検査をしたことがないので教科書的なことしか分からない。検査して実際に体験することと教科書的な知識を学ぶことの両方で、より知見を深めていけるのだとブログ用に勉強するなかで改めて痛感しました。

腹部超音波ポケットマニュアルを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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