肝硬変 liver cirrhosis :LC
肝硬変とは慢性肝障害の終末像で、肝機能不全を伴う。腹水、食道静脈瘤、肝性脳症、肝細胞癌を合併し、肝全体にわたり、再生結節とGlisson鞘を中心とした間質性隔壁による肝小葉の改築をみる。
典型的な超音波像は肝右葉萎縮、左葉腫大あるいは両葉萎縮、再生結節による肝表面不整・凹凸、肝縁の鈍化、肝実質エコー粗造化、肝静脈の狭小・径不同化がある。
また門脈圧亢進に伴い、脾腫、腹水(非代償期)、胆嚢壁肥厚、門脈側副血行路認められる。
肝実質エコーの粗造化はB型肝硬変で著しく、メッシュパターンと呼ばれ、小網目状のエコーが認められる。C型肝硬変では肝実質エコーは比較的均一であり、アルコール性肝硬変では再生結節が径3mm程度で均一に配列しているため、肝実質エコーは粗くなく、肝表面の凹凸も超音波像上ほとんど指摘できない。
腹水の有無は、肝硬度が代償性か非代償性かを判定するのに重要であり、少量腹水の貯留部位であるモリソン窩、脾周囲(左横隔膜下腔)、小骨盤腔を検索する。
- エコー所見
- 肝全体の変形(右葉萎縮、左葉腫大)
- 肝表面の凹凸不整像
- 肝実質エコーの粗大不整像
- 肝静脈不明瞭化(径の広狭不整像)
- 脾腫
- 門脈系(門脈本幹、脾静脈)の拡張
- 側副血行路(傍臍静脈、短胃静脈、左胃静脈、脾腎短絡路)
- 胆嚢壁二重像あるいは肥厚像(門脈圧亢進による)
- 腹水
肝硬変の種類
- 通常型肝硬変
- 壊死後性
- 肝炎後性‐B型肝炎、C型肝炎
- 栄養性‐アルコール性肝炎
- 特殊型肝硬変
- 原発性胆汁性肝硬変:PBC‐慢性非化膿性破壊性胆管炎
- 続発性胆汁性肝硬変‐化膿性炎症
- 心臓性肝硬変‐うっ血肝
- ヘモクロマトーシス‐鉄代謝異常、肝内鉄沈着
- Wilson病‐銅代謝異常、肝内銅沈着
- 寄生虫性肝硬変(日本住血吸虫症)‐門脈内虫卵塞栓
検査をしていて思うこと
肝硬変の肝臓だと肝変形していていつもと見え方が変わって最初は戸惑いました。またお腹が大きかったり、肝挙上していたりする人が多く見づらく、その悪条件でHCCなどを検索するのは難しく、技術と経験がいるなと思っています。いまはCTやMRIなどの画像がある患者さんで経験値を積んでいってます。
先輩が肝硬変の画像見て、背景肝をB型肝炎、C型肝炎やなって言ってて、いまは全然見分けがつかないので意識して肝臓を見ていきたいと思います。
腹部超音波テキスト<上・下腹部>を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント