急性腎障害 acute kidney injury
体液の恒常性の維持など、腎が本来もつ働きができなくなった状態をいい、急激に糸球体濾過能が低下する結果、尿量の減少と高窒素血症が出現する。
超音波所見
- 腎は前後径の腫大を認め、皮質のエコーレベルは肝実質より高い
- 中心部エコーの不明瞭化を認めることが多い
慢性腎不全 chronic renal failure
末期腎不全に至る原疾患は糖尿病性腎症、慢性腎炎、腎硬化症、先天性嚢胞腎、慢性腎盂腎炎などがあげられる。各疾患は病態が異なり、それぞれの末期腎不全への進行速度はまちまちである。また、障害される部位が違うため、末期の形状は多様である。
超音波所見
- 腎不全の進行とともに腎は委縮傾向を示し、腎表面(境界部)は平滑であったり、凹凸不整を呈するようになる
- 腎実質は菲薄化し、腎皮質のエコーは肝実質より次第に高くなり、中心部高エコーの不明瞭化が出現する
- 糖尿病性腎症は、慢性糸球体腎炎由来の萎縮腎に比べて萎縮程度は弱く、表面凹凸を示すことが多い
なお、症状出現の有無にかかわらず、腎障害が3か月以上持続する場合を慢性腎臓病(CKD)と定義し、尿蛋白や推算糸球体濾過値(eGFR)により診断される。
- 慢性腎不全の進行度分類
腎皮質のエコーレベルが肝より低いものをⅠ型、同じものをⅡ型、より高いがCECを識別できるものをⅢ型、非常に高くCECを識別できないものをⅣ型に分類している。
腎機能障害renal dysfunction
糸球体に障害が生じると血流の流れが悪くなり、末梢血管抵抗が上昇する。腎葉間動脈血流波形から抵抗係数(resistance index : RI)を求め、0.7以上は腎機能障害を疑う。腎エコーレベルの上昇や腎萎縮よりも腎機能障害を指摘することができる。
加速時間(acceleration time : AT)の延長100m/sec以上(正常は70msec未満)を認めた場合は、中枢側の狭窄病変(腎動脈狭窄など)を疑う。
日超検腹部超音波テキストを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント