胆管癌 cholangiocarcinoma
肝外胆道系の区分で、肝門部領域胆管、遠位胆管に原発する癌腫である。肝内胆管から発生する肝内胆管癌とは区別して取り扱われている。形態的には壁肥厚浸潤型、腫瘤形成型、管内乳頭型に分けられる。
危険因子として、胆管拡張型の膵管胆管合流異常や原発性硬化性胆管炎がある。組織学的分類では腺癌が多くみられる。胆管癌の発生症状は黄疸であり、次いで皮膚掻痒感、上腹部痛などがみられる。閉塞性黄疸例では、三管合流部以下に病変が存在する場合、胆汁うっ滞により胆嚢が無痛性に腫大するCourvoisier徴候がみられる。
肝門部胆管癌の多くは浸潤型であるため腫瘤として描出されがたく、左右肝内胆管の拡張とそれらの交通性の途絶像(胆管の泣き別れ)として描出されることが多い。
超音波所見
①肝内胆管の腫瘤像
→増殖形態を反映して、境界不明瞭で不整形な腫瘤像を呈する
→腫瘤は乏血性で、カラードプラで血流信号は見られない
→胆嚢壁の内側低エコー層の肥厚や限局性に内側低エコー層が描出される場合は、表面隆起型胆管癌の可能性を考慮する必要がある
②胆嚢腫大
→三管合流部以降が腫瘍により高度に閉塞した症例で認められる
→滞留した胆汁により胆嚢が腫大する
③胆嚢虚脱
→三管合流部より上部の狭窄、閉塞で認められることが多い
→胆汁の流れが途絶するため、胆嚢が萎縮する
④tapering像
→拡張した胆管が腫瘍へ集束するような先細り像として描出される
→腫瘍が胆管内を這うように増殖していることを反映している
超音波検査に役立つ疾患の特徴
①形態学的分類のなかでは壁肥厚浸潤型が圧倒的に多い
→画像診断で腫瘤を明瞭にとらえにくい
②肝門部胆管癌では胆嚢虚脱のことが多い
③遠位胆管癌では胆嚢腫大とCourvoisier徴候を認める
→Courvoisier徴候(クールボアジェ):腫大した胆嚢を無痛性に触知できること
④黄疸が出現しやすい
→早期発見が容易でなく、診断時には進行していることが多いため
日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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