尿管瘤(ureterocele)
膀胱内尿管が嚢腫状に拡張する疾患で、尿管口の狭窄により尿路の拡張を伴うことがある。
単純性(simple ureterocele)と異所性(ectopic ureterocele)があり、異所性が約80%を占める。
単純性尿管瘤は尿管の開口位置が通常より尾側膀胱内であるときに尿管瘤を伴ったもので、無症状のことが多く尿路拡大も目立たず、年長児や成人で偶然見つかることが多い。
異所性尿管瘤は重複腎盂尿管症となった上腎からの尿管が下腎からの尿管より尾側の膀胱内に異所開口したもので、開口部には尿管瘤を有し、腎盂、腎杯、尿管の拡大を合併することが多い。上腎の実質も菲薄なことが多く、異形成や機能低下していることもある。下腎の尿路拡大の程度はあっても軽度なことが多い。
超音波所見
- 下部尿管の拡張
- 下部尿管が膀胱内に瘤状に突出する
- 重複腎盂および水腎症を認めることがある
検査時の注意点
- 重複腎盂の上腎由来尿管が異所性開口する場合が多いので必ず腎臓の検索を行う。
- 尿管の蠕動に合わせて尿管瘤も拡大、縮小するので、リアルタイムでしばらく観察し、瘤が拡大したところで記録する。瘤は必ずしも拡大しているとは限らず、虚脱していると腫瘤状に見えることがある。
- 瘤の壁は非常に薄いことが多く、分かりづらいときがある。
- 女児に多い異所性尿管瘤は瘤自体が膣より突出することがある。
超音波画像
小児アトラス (コンパクト超音波αシリーズ)と小児超音波診断のすべてを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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