腹部超音波検査のサイン

エコー

腹部超音波検査のサイン

Umbilication(ウンブリケーション)

特に、転移性肝腫瘍の際に見られる所見で、肝辺縁に存在する腫瘍が内部の変性や壊死により、ちょうど臍状に陥凹しているように描出される。

Chameleon sign(カメレオンサイン)

肝血管腫において、体位変換すると腫瘤のエコーレベルが変化する現象(Wax and wane sign、Disappearing signを参照)。

肝腎コントラスト(hepato-renal echo contrast)

肝臓と腎皮質のエコーレベルを比較し、その差を見る。通常はこの差は見られないが脂肪肝では肝実質のエコーレベルが上昇し、明らかな差が見られる。

逆肝腎コントラスト

慢性腎不全、ネフローゼ症候群、アミロイド腎などで、腎皮質のエコーレベルが肝臓より上昇しているものを逆肝腎コントラストとよぶ。

Cap sign(キャップサイン)

肝細胞癌において最初に発生した癌結節の辺縁に新たに癌が発生したもの。Capを被った頭のように、capの部分は低エコーに、頭の部分のエコーレベルは高く(通常は高分化肝細胞癌)描出され、再発を示唆する所見となる。Nodule in noduleと同じ意味であるが、早期の肝細胞癌で有用な所見である。

Cluster sign(クラスターサイン)

腫瘍が増大していく過程において多数の腫瘍がその名のとおり、ぶどうの房状に融合して一塊となったもの。肝臓の転移性腫瘍の超音波像に対してよく使われるサイン。

Comet-like echo(コメット様エコー)

高輝度エコーの後方に彗星のような白い縞が見られ、深部にいくほど小さく、おたまじゃくしの尾のように描出される現象。アーチファクトの一種で多重反射による。対象物のみで超音波の往復が起こるために生じる。胆嚢の壁在結石の存在や胆嚢腺筋腫症が認められる胆嚢で観察されることがよく知られているが、肝臓、胆管、膵臓、脾臓など、いろいろな場所の超音波像で使われる。Comet tail artifact、tadpole tail artifactと同義語。

Pseudo kidney sign(シュードキドニーサイン)

消化管壁の全集性の肥厚像が腎臓の超音波像に類似することから称される。周囲の壁肥厚像は低エコーに、中心部の内容物や粘膜像は高エコーとして描出される。一方、X線注腸造影で見られる全集性の狭窄像をapple core signとよぶ。

Pseudo parallel channel sign(シュードパラレルチャンネルサイン)

拡張した肝動脈枝と肝内門脈枝が並走して描出され、あたかも閉塞性黄疸のときに見られるparallel channel signのように見えることからよばれる。本症はカラードプラ法により容易に鑑別可能である。アルコール性肝炎の約85~90%に見られるとの報告もある。もう1つの意味として、下右肝静脈と右門脈後下区域枝が並走するための呼称でもある。

Shotgun sign(ショットガンサイン)

総胆管下部の閉塞により丈夫胆管が拡張し、肝門部において門脈本幹とともにshotgun(二連銃)のように描出される。

Seven-eleven rule(セブンイレブンルール)

肝外胆管の最大径を測定して7㎜以下を正常、7~11㎜はborderline、11㎜を超える場合は明らかに異常。

Sonographic Murphy sign(ソノグラフィックマーフィーサイン)

Murphy signは急性胆嚢炎の際の触診所見として重要なサインであり、胆嚢炎がある例で右肋弓下を触診すると、胆嚢の痛みのために息を深く吸えない現象をいう。Sonographic Murphy signとは、プローブを当てた際に胆嚢に圧痛があれば陽性とする。

Sonolucent layer(ソノルーセントレイヤー)

急性胆嚢炎などで炎症が高度の場合に、胆嚢壁が高・低・高の3層構造として描出されるが、このうちの粘膜と漿膜との間の低エコー層のことを意味する。胆嚢漿膜下の浮腫や壊死を反映している。

Double arc-shadow sign(ダブルアークシャドーサイン)

萎縮胆嚢内に音響陰影を伴った胆石像が充満する場合、表面のストロングエコーの腹側に胆嚢壁を示唆する低エコー像がみられる。

Disappearing sign(ディスアピアリングサイン)

肝血管腫において探触子で腫瘤を圧排することにより、腫瘤性状が変化し、不明瞭化する現象。海綿静脈洞の大きさの変化により、後方散乱が変化することに起因する。Chameleon sign, wax and wane signとほぼ同義語。

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