膵神経内分泌腫瘍

膵臓

膵神経内分泌腫瘍 pancreatic neuroendocrine neoplasms

島細胞腫瘍を主体とした膵・消化管ホルモン産生腫瘍で、充実性腫瘍である。一部、出血をきたし、嚢胞状となるものもある。超音波検査による島細胞腫瘍の良悪性の鑑別は困難である。しかし、3cmを超えれば悪性を疑い、5cm以上は悪性のことが多いといわれている。

過剰に産生されるホルモンの種類により、インスリノーマ、ガストリノーマ、VIPoma、グルカゴノーマなどに分類される。インスリノーマの多くは良性が多く、膵体尾部に好発する。ガストリノーマは悪性が多く、膵頭尾部に好発する。

超音波所見

  1. 境界明瞭、平滑
  2. 内部低エコー
  3. 内部は比較的均一(4cm以上になると内部に高エコーを伴い内部不均一になる)
  4. 石灰化を伴うこともある
  5. 嚢胞成分を伴うこともある
  6. 尾側膵管の拡張はみられないか、軽度の平滑拡張(膵管は圧排性の変化を受けるため)

ドプラ所見

腫瘍血管に富むことが多いため血流信号が豊富に検出される。また、内分泌腫瘍は、内部に嚢胞変性を伴うことや、石灰化を認めることがある。このときの鑑別方法として、ドプラにて腫瘍内部から血流が認められれば内分泌腫瘍と判断できる。

鑑別疾患

嚢胞成分の少ないsolid-pseudopapillary neoplasm:通常ドプラ法にて血流信号がみられない。

超音波検査に役立つ疾患の特徴

インスリノーマ(インスリン産生腫瘍)

  • 膵内分泌腫瘍のなかで最多
  • 好発部位は膵体尾部
  • ウィップル(Whipple)の三徴:空腹時低血糖、中枢神経症状を伴う低血糖発作、ブドウ糖静注による劇的な回復

ガストリノーマ(ガストリン産生腫瘍、Zollinger-Ellison症候群)

  • インスリノーマに次ぐ発生率
  • 悪性が多い
  • 好発部位は膵頭尾部
  • 難治性の消化性潰瘍(腹痛、悪心、嘔吐、吐血、下血、穿孔など)、下痢

VIPoma(血管活性腸ポリペプチド腫瘍、WDHA症候群腫瘍、VIP産生腫瘍)

  • 1日3L以上の下痢
  • 女性に多い
  • 水様性下痢、低カリウム血症、胃無酸症を特徴とし、WDHA症候群とも呼ばれる

グルカゴノーマ(グルカゴン産生腫瘍)

  • きわめて稀
  • 約80%は悪性
  • 特有な皮疹を引き起こす
  • 特に女性に多い
  • 30mm大以上のことが多い

日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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