膵嚢胞 pancreatic cyst
境界明瞭な円形の腫瘤で、内部エコーはなく、後方エコー増強を伴う。嚢胞壁内側が上皮細胞で覆われている真性嚢胞と上皮細胞に覆われていない仮性嚢胞に分類される。
仮性嚢胞は炎症や外傷によるもので、出血や壊死物質を含むと内部エコーを伴う。
漿液性腫瘍 serous neoplasms :SNs
小嚢胞からなる多房性嚢胞で、高エコー充実性腫瘤として描出される。腫瘍血管に富む。また通常膵管との交通は見られない。女性の膵頭部に好発する。
構成する嚢胞の大きさにより4型に分類
- 小嚢胞が蜂巣状に集簇する型(microcystic type)
- 大嚢胞と小嚢胞の混在する型(mixed type)
- 大嚢胞型(macrocystic type)
- 肉眼では嚢胞が認識できない充実型(solid type)
粘液性嚢胞腫瘍 mucinous cystic neoplasms :MCNs
単房性病変で内部に隔壁を認める場合があり、隔壁で仕切られた領域が嚢胞状に描出される(cyst in cyst)。厚い線維性被膜をもち、血流に乏しく、また通常膵管との交通は見られない。女性の膵体尾部に好発する。
乳管内乳頭粘液性腫瘍 intraductal papillary mucinous neoplasms :IPMNs
粘液を入れた肉眼的な膵管拡張を特徴とする膵管上皮性腫瘍で、病変の主座が主膵管にあるものは主膵管型、分枝にあるものは分枝型、両方にまたがるものは混合型とする。高齢の男性に多く、膵頭部に好発する。
- 主膵管型
- 他に原因のない部分的あるいは全体的な5mm以上の主膵管拡張を認めるもの。
- 主膵管5~9mm:worrisome features、主膵管10mm以上:high risk stigmata
- 分枝型
- 主膵管が5mm未満で、主膵管と交通する5mm以上の分枝拡張を認めるもの。
- 多房性嚢胞像(ぶどうの房状)を示す。
- 混合型
- 主膵管型と分枝型の特徴を併せ持つもの。
IPMNの悪性度指標としてworrisome featuresとhigh risk stigmataが設けられた。
worrisome features(悪性の疑いを示す所見)
- 膵炎
- 嚢胞径30mm以上
- 造影される5mm未満の壁在結節
- 造影される肥厚した嚢胞壁
- 主膵管径5~9mm
- 尾側膵萎縮を伴う主膵管狭窄
- リンパ節腫大
- 血清CA19-9の高値
- 2年間に5mm以上の嚢胞径増大
high risk stigmata(悪性を強く示す所見):手術適応となる
- 膵頭部病変例での黄疸
- 造影される5mm以上の壁在結節
- 10mm以上の主膵管拡張
検査をしていて思うこと
膵臓は死角や障害物も多く、全部しっかり観察できないことが多い。体位変換、プローブでの圧迫、呼吸コントロールなどで工夫して観察する。
初めは膵の全体像を把握するので手いっぱいだったけど、数を重ねるうちに嚢胞などもみえるようになっていきました。
嚢胞を見つけたときに悩むのが、ほんとに内部無エコーなのか?と思う。プローブの当て方が悪くて抜けが悪いのか、腸管ガスがかかって抜けが悪いのか…。
腹部超音波ポケットマニュアルを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント