消化管超音波診断のステップは、的確に病変部を描出した後、その病変部の何に着目し、どのように画像を解析していくかが重要なポイントとなる。
①病変の検出
病変部に気づかなければ何も始まらない。したがって、系統的走査法にて解剖学的位置を確認しながら病変部を検出する。炎症性疾患の場合は病変部位に浮腫性肥厚像が、腫瘍性の場合は腫瘤像が描出される。両者ともおおむね低エコー像として観察されることが多い。つまり“異常な低エコー像を探す”ということが重要となる。
②病変部を疑ったら拡大
正常腸管壁は1~4㎜程度であり、肥厚してもおおよそ1~2㎝程度の薄いものがある。かならずズーム機能で病変部を拡大し存在診断を確定する。
③高周波プローブを用いる
かならず高周波プローブによる観察を行う。病変部の組織構築(層構造など)を明らかにする。診断に値する画像の描出なしに語るものはない。高周波プローブによる観察の問題点として、分解能とペネトレーションがトレードオフになることが指摘されるが、機器性能の向上により十分に担保されるようになった。
④カラードプラを用いる
カラードプラによる病変部の血管構築の把握も重要である。血流の有無が病変存在の決定に役立つことがある。ドプラ感度にもよるが、病変(腫瘍)が存在しない部位には血流シグナルは検出されない。
⑤「消化管病変を評価する10のポイント」
- 壁の肥厚
- 異常所見の部位と分布(臓器の同定、連続性、びまん性)
- 壁構造(明瞭、不明瞭、消失)
- 粘膜層+境界エコー – (high echo)
- 粘膜層+粘膜筋板 – (low echo)
- 粘膜下層 – (high echo)
- 固有筋層 – (low echo)
- 漿膜層+境界エコー – (high echo)
- エコーレベル(正常壁各層との比較)
- 壁外の変化(炎症波及、壁外浸潤)
- 蠕動の状態(動かない腸管は要注意)
- 壁の硬さ(可変性と伸展性)
- 内腔の拡張、狭小化(拡張したものは追跡)
- 壁の変形(潰瘍、壁外浸潤)
- 血流(血管形態と微細血流)
日超検腹部超音波テキストを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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