劇症肝炎

肝臓

劇症肝炎 fulminant hepatitis

劇症肝炎とは、肝臓の急激な広汎壊死に基づいて起こる肝不全症状である。急性肝炎発症後8 週間以内に肝性Ⅱ度以上の脳症、プロトロンビン時間40%以下といった高度の肝機能障害を呈し、予後はきわめて不良である。肝性脳症発現までの日数(8週以内)で、10日以内に肝性昏睡が発現する急性型と、それ以降に昏睡が発現する亜急性型に分類される。また、 肝性脳症発症までの期間が8~24週の症例は遅発性肝不全とされ、劇症肝炎の類縁疾患として扱われる。

劇症肝炎は急性の炎症であるが、肝が腫大せずに萎縮するのは、細胞が再生するスピード以上に、急激かつ広範囲に肝細胞のアポトーシス(死級)が起こるためである。病因のうちもっとも多いのはウイルス性であり、急性型の約7割、亜急性型の約3割を占める。その他の病因として、自己免疫性や薬剤性のものがあり、近年増加する傾向がある。劇症肝炎は、播種性血管内凝固、感染、腎不全などを併発し、多臓器不全となる例が多い。重症では生体部分肝移植が行われる。

超音波所見

  1. 肝の萎縮を認める。
  2. 実質エコーは均一なものから不均一なものまでさまざまである。
    →壊死部と残存部とで地図状になる。壊死部は高エコーとなる。
  3. 実質エコーが不均一なものは表面凹凸で不整なものが多い。
  4. 胆嚢内腔の虚脱と胆嚢の肥厚
  5. 腹水を伴う。
  6. 劇症化の初期には形態的変化に乏しい.
    →初期には急性肝炎と変わらないが、その後の急激な変化に注意を要する。

劇症肝炎の診断基準

肝炎のうち、症状発現後8週間以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡Ⅱ度以上の脳症を来し、プロトロンビン時間40%以下を示すものを劇症肝炎とする。

日超検腹部超音波テキスト、超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
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