うっ血肝 congestive liver
肝静脈~右心系に至る経路に異常が発生し、静脈還流が停滞傾向になることによって肝内に血液のうっ滞を起こした状態である。右心不全などでみられる。
これにより、中心静脈がうっ血し、小葉中心部(中心静脈の周り)では肝細胞の壊死が起こる。辺縁部では、傷害されていない肝細胞がグリソン鞘を中心に疑小葉を形成する(線維化)。肉眼的にはニクズク肝(nutmeg liver)とよばれる。
超音波所見
- 肝静脈・下大静脈の拡張
- 静脈がうっ血するため、肝静脈は3枝とも拡張し、下大静脈も拡張する。
- 呼吸による脈管径の変化が見られない
- 肝静脈、下大静脈ともうっ血により拡張するため、呼気・吸気による径の変化が見られなくなる
- 肝腫大
- 肝臓はうっ血状態のため、腫大傾向となる
- 脾腫
- 肝臓のうっ血が高度の場合、門脈を介して脾腫を認める
- 肝実質エコーレベルは軽度上昇することが多い
- 腹水を伴うことが多い。
うっ血肝の画像の記録
肝静脈をきれいに撮ろうとした場合、深呼吸では肝臓実質の圧によって肝静脈腔がつぶれてみにくくなるため、安静呼吸時や軽度吸気時に記録しがちであるが、うっ血肝の判定を行う際には、必ず深呼吸させ、それでも肝静脈の拡張があること(肝実質の圧にも耐えるほど肝静脈圧が上昇していること)を証明した画像記録を行わなければならない。
日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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