基底細胞腺腫 basal cell adenoma
基底細胞腺腫は、導管上皮系細胞と筋上皮・基底細胞系細胞の両者からなる良性腫瘍で、古い分類では単形腺腫 (monomorphic adenoma) のなかに位置づけられていた。多形腺腫に比べると頻度は少ない。 組織学的には、主として2種類の細胞 (上皮性細と筋上皮細胞)から構成されるが、多形腺腫のような多彩な組織像はみられないのが特徴である。
多形腺腫と同様に、被膜に覆われ、周囲への浸潤はみられず可動性良好な腫瘍である。通常、 疼痛や顔面神経麻痺は伴わない。多形腺腫に比べて細胞成分が多く、充実部分と囊胞部分を伴うことの多い腫瘍である。
超音波所見
- 境界は明瞭平滑、形状は整である
- 小さい腫瘍では円形のものが多いが、大きくなると分葉状に発育する
- 内部エコーはほぼ均質で、低~等エコー、後方エコーの増強が認められる
- 腫瘍の可動性は良好であることを確認する。
- 腫瘍内の血流は、多形腺腫と違い基質部分は乏しく細胞成分が多いため、ドプラ像における血流シグナルは豊富であることが多い
鑑別のポイント
多形腺腫に比べて細胞成分が多いため、内部エコーは低くなり血流が全体に豊富な傾向がある。部分的な形状不整や被膜浸潤があると低悪性度癌の可能性があるため、腫瘍の全体像をみて判断することが重要である。
体表臓器超音波診断ガイドブックを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント