虫垂炎 appendicitis
虫垂炎は、虫垂内腔の閉塞、虫垂粘膜への細菌感染を起因とする炎症である。虫垂内腔の閉塞は、粘膜下リンパ濾胞の過形成、糞便うっ滞、糞石、食物残渣などにより生じる。リンパ路のドレナージが閉塞し、虫垂粘膜の浮腫をきたし、細菌感染を伴い粘膜にびらんを形成する。
症状は発熱、右下腹部痛である。腹痛は、はじめは心窩部痛や臍部にみられるが、次第に右下腹部に移行し限局してくることが多い。右下腹部に圧痛(McBurney, Lanz, Kummel)を認め、Blumberg徴候、腹壁緊張、筋性防御、Rosenstein徴候、Rovsing徴候などの腹膜刺激症状を伴う。白血球数は通常10000/μL以上のことが多い。乳幼児虫垂炎、老人では、主訴が不明瞭で、腹部所見、検査所見ともに典型的でないことがある。
超音波検査による虫垂炎の診断率は、感度75~90%、特異度85~100%であり、信頼性の高い検査法であるとされている。10~30歳代の若年層に好発する。
虫垂腫大による管腔径の変化(カタル性<蜂窩織炎性<壊疽性)
→(カタル性:6~8㎜<蜂窩織炎性:8~10㎜<壊疽性:10㎜~)
壁の層構造の変化
カタル性:層構造温存、粘膜下層の軽度の肥厚
蜂窩織炎性:粘膜下層の著名な肥厚
壊疽性:層構造の不明瞭化~消失、穿孔例では欠損
超音波所見
<直接所見>
- 腫大した虫垂像(target sign, fish eye sign)
<間接所見>
- 虫垂結石(糞石)の存在
- 回盲部、上行結腸への炎症の波及による浮腫性壁肥厚
- 限局性腸管麻痺像
- 回盲部付近のリンパ節腫大
- 腸間膜や大網などの炎症の波及による周囲高エコー域
- 回盲部周囲およびダグラス窩腹水貯留
- 虫垂周囲の膿瘍形成
日超検腹部超音波テキストを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント