アミラーゼ

検査値

アミラーゼ

アミラーゼは、でんぷんなどの多糖類を分解する消化酵素の1つで、主に唾液腺由来(S型)と膵由来(P型)とに分別される。血中アミラーゼが高値の場合、唾液腺由来なのか、膵由来なのかを鑑別することが重要である。

特に膵由来の高アミラーゼ血症は、重篤な膵炎や膵癌などが原因の場合があり、その場合は生命予後を左右すろことがあるため、決して見逃してはならない。

鑑別診断

血清アミラーゼ値が高値の場合、唾液腺由来か膵由来かの鑑別にはアミラーゼアイソザイムを調べる。唾液腺由来ならS型アミラーゼが、膵由来ならP型アミラーゼが上昇する。

S型アミラーゼ高値では唾液腺炎や唾石症、唾液腺疾患などの病態を考えるが、まれに悪性腫瘍の存在も鑑別に挙がる。

P型アミラーゼ高値では急性膵炎や慢性膵炎、また膵癌の可能性も考える。膵炎以外の消化管疾患では胃十二指腸潰瘍穿孔、腹膜炎、腸閉塞、腸間膜動脈閉塞などでも上昇する。

パニック値への対応

急性膵炎の多くの場合、強い腹痛を伴う。しかし急性膵炎でも症状に乏しい場合や、慢性膵炎の増悪時などはその限りではない。

施設によるがアミラーゼアイソザイムは結果が出るまでに要する。そのため、高アミラーゼ値をみたらまず急性膵炎を疑い、炎症反応(白血球数やCRP)の上昇の有無はもちろん、すぐに尿中アミラーゼ血中リパーゼの測定を行い、急性膵炎の病状把握を行う必要がある。

その際、血清アミラーゼは膵疾患以外の原因でも上昇することがあるので、身体所見や腹部CTなどを確認することも重要である。

急性膵炎の診断に必要な検査

  • 理学所見:上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある
  • 臨床検査:血中または尿中に膵酵素の上昇がある
         (膵アミラーゼ、リパーゼなどの測定が望ましい)
  • 画像検査:超音波、CT、MRIで膵に急性膵炎を伴う異常所見がある

検査のポイント

急性膵炎の場合、血清アミラーゼの上昇は発症後1~12時間以内に始まり、多くは1~2日でピークに達し、3~4日で正常化する。血清アミラーゼは基準値上限の数倍から30倍にも達することもあるが、急性膵炎の重症度や病態の推移とは関連しない。

一方、尿中アミラーゼは血清アミラーゼ値よりも高値が持続するため、血清アミラーゼと尿中アミラーゼの両方の測定を実施することが重要である。

ただし、尿中アミラーゼは、脱水や腎不全の影響を受けるので、アミラーゼクリアランスをクレアチニンクリアランスで補正したACCR(amylase creatinine clearance ratio)を計算して評価する必要がある。

ACCR(%)=(尿アミラーゼ×血清クレアチニン) ÷ (血清アミラーゼ×尿クレアチニン) × 100

ACCRは、膵疾患と非膵疾患の鑑別、マクロアミラーゼ血症の鑑別に有用で、急性膵炎では上昇し、唾液腺型の高アミラーゼ血症では正常、マクロアミラーゼ血症では著しく低値となる。

アミラーゼとリパーゼ

アミラーゼは膵型と唾液型が存在するため、アミラーゼが高値であってもアイソザイムを確認しないと膵由来かどうかは判定できない。リパーゼは膵特異的な酵素であり、アミラーゼよりも異常高値の持続時間が長く、急性膵炎の診断において感度・特異度が高く、最も有用な膵酵素とされる。血清リパーゼのピーク値は、アミラーゼと同様に急性膵炎の重症度とは関連しない。

レジデントのためのこれだけ検査値を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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