自己免疫性膵炎

膵臓

自己免疫性膵炎 autoimmune pancreatitis : AIP

発生に自己免疫の機序の関与が疑われる疾患である。

膵のびまん性腫大膵管狭細像が特徴で、高γグロブリン血症、高IgG4血症、自己抗体の存在や副腎皮質ステロイド治療が有効など、自己免疫機序の関与を示唆する所見を有する。

リンパ球および形質細胞浸潤と線維化を認め、膵は腫大する。また、膵導管周囲の炎症性変化により膵管の狭細像を認める。

超音波所見

  1. 膵腫大:膵臓の1/3以上の領域にわたるソーセージ様を呈する膵のびまん性腫大
  2. 限局性腫大:主膵管拡張は認められないことが多いが、ときに軽度の拡張所見をみとめることがあり、膵癌や腫瘤形成性膵炎との鑑別診断が問題となる
  3. 実質低エコー:腫大部の低エコー像に高エコースポットが散在
  4. 主膵管狭細像:びまん性、限局性に不整狭細像を認める。

膵管狭細像とは

閉塞像や狭窄像と異なり、ある程度広い範囲におよび、膵管径が通常より細くかつ不整を伴っている像を意味する。

典型例では狭細像が全膵管長の1/3以上(約5㎝)を占めるが、限局性の病変でも、狭細部より尾側の主膵管には著しい拡張を認めないことが多い。

超音波検査に役に立つ疾患の特徴

  • 中高年男性に多い
  • 硬化性胆管炎を併発し、下部胆管狭窄による閉塞性黄疸や糖尿病を合併することがある
  • しばしば自己免疫性疾患であるシェーグレン症候群を合併する
  • ステロイドが有効で予後は良好

自己免疫性膵炎臨床診断基準2011

①膵画像検査にて特徴的な主膵管狭細像と膵腫大を認める
②血液検査で高γグロブリン血症、高Ig血症、高IgG4血症、自己抗体のいずれかを認める
③病理組織学的所見として膵にリンパ球、形質細胞を主とする著明な細胞浸潤と線維化を認める

上記の①を含めて2項目以上を満たす症例を自己免疫性膵炎と診断する。
ただし、膵臓癌、胆管癌などの悪性疾患を除外することが必要

日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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