急性胆嚢炎

胆嚢胆管

急性胆嚢炎 acute cholecystitis

胆嚢に生じる急性炎症で、胆嚢結石が胆嚢頚部や胆嚢管に嵌頓し、胆汁の通過障害や胆汁うっ滞に細菌感染が加わり発症することが多い。

急性胆嚢炎は胆嚢頚部または胆嚢管が閉塞することで血行障害が生じて、壁の防御機能が低下したところに細菌感染が加わって発症する、胆嚢結石を有する場合と結石を伴わない場合(無石胆嚢炎)がある。無石胆嚢炎の原因には、長期絶食により生じた濃縮胆汁が胆嚢管を閉塞することや、肝動脈塞栓術(TAE)後の胆嚢壁の虚血が知られている。

急性胆嚢炎の初期には持続性の心窩部鈍痛が出現し、病態が進行すると右季肋部の強い痛みとなり、ときには右肩の放散痛を伴い、発熱と吐き気や嘔吐がみられる。Murphy徴候(右季肋部を圧迫したまま深呼吸をさせると疼痛のため吸気を途中で止める)は特徴的な所見でもある。

急性胆嚢炎の病理・病態学的分類では、浮腫性胆嚢炎、壊疽性胆嚢炎、化膿性胆嚢炎に分類される。

浮腫性胆嚢炎:毛細血管とリンパ管のうっ滞や拡張が主体の状態

  1. 胆嚢壁はうっ血、浮腫性となる
  2. 胆嚢組織は温存されている
  3. 漿膜下層に細小血管の拡張と著しい浮腫がみられる

壊疽性胆嚢炎:浮腫状変化の後に組織の壊死出血が起こった状態

  1. 内圧の上昇により胆嚢壁への圧迫が生じる
  2. 動脈分枝の血行が停止(血栓形成や閉塞による)
  3. 組織の壊死が発生する(各層の所々に壊死は巣がみられる)

化膿性胆嚢炎:壊死組織に白血球が浸潤し化膿が始まった状態

  1. すでに炎症の修復は盛んな病期で、胆嚢は収縮傾向を呈す
  2. 炎症に伴う線維性増生のため壁は再度肥厚する
  3. 壁内膿瘍は比較的大きく、壁外への波及では胆嚢周囲膿瘍となる

超音波所見

  • 胆嚢は腫大し、緊満状態を呈してくる
  • 胆嚢の壁は肥厚する
  • 高度な壁の肥厚時にはsonolucent layer(透亮帯)を認める
  • 胆泥が貯留する
  • 結石を伴う場合が多く、胆嚢頚部あるいは胆嚢管に結石が嵌頓している
  • 胆嚢周囲に液体貯留あるいは膿瘍の形成を認めることもある
  • プローブの圧迫による胆嚢の圧痛(sonographic Murphy sign)

胆嚢の腫大と壁肥厚の目安

腫大:長径8㎝×短径4㎝以上を腫大の目安

壁肥厚:3㎜以上を壁肥厚の目安

超音波検査に役立つ疾患の特徴

胆嚢の大きさには個人差があるため、腫大の判断が難しいことがある。
→内圧の上昇により形状が球形近くに緊満した状態にあれば胆嚢炎の可能性が高い

急性胆嚢炎の合併症
→胆嚢蓄膿、胆嚢周囲膿瘍、内胆汁瘻、胆汁性腹膜炎など

無石性胆嚢炎は、長期絶食での胆汁濃縮による胆嚢管の閉塞や、糖尿病や膠原病などの系統疾患、感染菌などによる感染が要因となって生じる。
→臨床症状は胆嚢炎であるが、胆石は認めない

壊死性胆嚢炎
→浸出液の貯留が増加し、胆嚢内圧が上昇することで胆嚢壁が壊死し、出血を来す
→微小動脈の血栓形成、閉塞による欠航障害が原因と考えられる

気腫性胆嚢炎
→ガス産生菌により胆嚢の壁内や内腔にガスが充満し、炎症を起こす
→罹患例のほとんどは糖尿病を有する男性である
→超音波像としては、胆嚢内のガスエコーが特徴である

検査をしていて思うこと

予定の検査でなく緊急で来た患者さんの検査になるので、経験は多くはありませんが、痛みが強い場合が多く、プローブでの圧迫ができない。なのでその後の治療に繋げられる必要最低限の情報をまず検査することが大事だと感じました。病気のこと、超音波での所見に加えて治療についても知識が必要だと思いました。

日超検腹部超音波テキストと超音波検査士認定試験対策臨床編:消化器領域を主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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