脾腫 splenomegaly
脾腫とは,脾臓が異常に腫大した状態で、判定方法としてspleen indexが用いられる。脾臓の最大断面像より直交する2方向を計測して積を求める。
- spleen index
- 木村の式:A×B≧20㎠
- 古賀の式:C×D≧40㎠
- 朝井の式:E×F≧40㎠
脾門部が描出される最大断面とする。プローブは腹壁に対し垂直が望ましく、再現性も高くなる。やせていてプローブの密着不良の場合はエコーゼリーを多めにつけてプローブと皮膚の隙間を補完する。
spleen index は年齢が考慮されていないので、脾腫の判定時には年齢も考慮する。10代では過大評価に注意し、高齢者では spleen index が閾値を超えなくても、脾外側への突出があれば脾腫を疑う。
脾腫の主な原因疾患
- 脾腫+脾静脈の拡張
- びまん性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変など)
- 門脈圧亢進症(突発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症)
- 心不全
- 脾腫のみ
- 血液疾患(白血病、悪性リンパ腫、溶血性貧血など)
- 感染症(敗血症、亜急性細菌性心内膜炎など)
- 代償性疾患(Gaucher病、アミロイドーシス)
脾石灰化 calcification of spleen
脾石灰化は音響陰影を伴う高エコー像として描出される。
Gamna-Gandy結節は脾内の音響陰影を伴わないびまん性の点状高エコーとして描出され脾腫を伴う。脾内出血にいる脾柱や被膜へのヘモジデリン沈着や微小石灰化に由来する。
脾血管腫 hemangioma of the spleen
血管の増生を主体とした良性腫瘍で、毛細血管性血管腫、海綿状血管腫、混合型血管腫に分類されるが、海綿状血管腫が多い。
1~2㎝の小さな腫瘤は境界明瞭な高エコー腫瘤として描出される。大きくなると、出血、梗塞。線維化などの2次的変化が起こり、低~無エコー域が出現し不均一な腫瘤となる。
- エコー所見
- 境界明瞭な類円形腫瘤
- 内部エコーは均一な高エコー(大きくなると不均一)
脾悪性リンパ腫 malignant lymphoma of the spleen
全身的な悪性リンパ腫の部分症の場合と、脾原発の悪性リンパ腫がある。
境界明瞭な類円形の低~極低エコー腫瘤を示す。脾腫およびリンパ節腫大を伴うことが多い。
- エコー所見
- 境界明瞭な類円形腫瘤像
- 内部エコーは低~極低エコー
- 後方エコーの増強を伴う
- 脾腫を伴う
- リンパ節腫大を伴う
脾腎短絡 spleno-renal shunt
脾門部に拡張蛇行する管腔像が見られ、ドプラ法で定常性血流信号を認め、脾静脈の逆流を伴う。脾腎短絡であることが多く、肝性脳症(血中アンモニア値の上昇)も念頭に置く。
- エコー所見
- 脾門部の血管拡張
- 脾静脈の逆流
- 脾腫の有無
検査をしていて思うこと
脾臓は腹部超音波検査するなかでは、疾患も少なく、検査をしていて遭遇するのも少ないし、観察している時間も少ない部位だと思います。
先輩から脾腫の原因で考えられることは?と聞かれ、2つしか答えられず、その時に様々な原因があるのだと知れました。また脾臓の異常から肝臓などの多臓器の疾患も予測できると教えてもらいました。知識があることで見るべきポイントが絞れるのはかなりアドバンテージだなと思いました。
腹部超音波ポケットマニュアルを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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