Warthin腫瘍(ワルチン腫瘍)
Warthin腫瘍のほとんどは耳下腺に生じ、良性腫瘍では多形腺腫に次いで多い。充実部分と囊胞部分とが混在することの多い腫瘍である。
臨床所見
50歳以上の男性に好発し、多発性、両側性にみられることも多い。
多形腺腫に比べて、軟らかく可動性良好な腫瘤として触知される。通常疼痛や顔面神経麻痺は伴わないが、感染や炎症の影響を受けやすいため、臨床症状が修飾されることがある。 MRI、造影CTでも腫瘍は描出されるが、超音波診断ではより詳細に観察できる。
PET-CTでFDGの集積が認められることが多く、悪性腫瘍や癌のリンパ節転移との鑑別が必要になるが、その場合、超音波検査が非常に有用である。
超音波所見
- 境界は明瞭平滑、形状は整である
- 内部エコーは多形腺腫に比べて全体に低エコー
- 注意深く観察すると、嚢胞部分や非常に繊細な線状高エコーが認められる
- 小さい腫瘍では楕円形のものが多く、後方エコーの増強が認められる
- 腫瘍の可動性は良好なものが多い
- 腫瘍内の充実部分の血流は多形腺腫に比べて多く、ドブラ像では細かい血流シグナルが認められる
鑑別のポイント
多形腺腫や低悪性度の唾液腺悪性腫瘍のほか、リンパ節腫脹、特に悪性リンパ腫との鑑別が問題となることがある。リンパ節門の構造や、リンパ節門から流入するような血流分布が確認できれば、悪性リンパ腫を疑う必要がある。
体表臓器超音波診断ガイドブックを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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