多形腺腫

頸部

多形腺腫 pleomorphic adenoma

唾液腺腫瘍の約60~70%を占める。30~60歳代に多く、男女比は1:2で女性に多い。

病理組織学的には、主として2種類の(細胞上皮性細胞と筋上皮細胞)から構成され、多彩な組織像を呈する。 腺腫様組織は上皮性細胞から、粘液腫様や軟骨様組織は筋上皮細胞に由来する。

臨床所見

周囲との癒着はなく可動性良好であるが、経過中に悪性変化を生じる可能性もあるため、良性と判断しても早期に摘出術を行うのが望ましい。通常、疼痛や顔面神経麻痺は伴わない。MRIでは腫瘍は明瞭に描出されるが、CTでは正常唾液腺組織との境界がわかりにくいことがある。

超音波所見

  1. 境界は明瞭平滑、形状は整である。
  2. 小さい腫瘍では円形のものが多いが大きくなると分葉状に発育する
  3. 内部エコーはほぼ均質で低〜等エコー、後方エコーの増強
  4. 腫瘍の可動性は良好である
  5. 腫瘍内の血流は、粘液腫状や軟骨腫様組織の部分を避けるように血管が走行するため、ドプラ像における血流シグナルは全体的に疎であることが多い

腫瘍内の多彩な組織像を反映した超音波像および血 流シグナルとなるため、 1つの断面だけでなく、複数の断面で腫瘍の全体像を十分に観察することが重要である

鑑別のポイント

耳下腺では、同じく頻度の高い Warthin 腫瘍との鑑別を常に考える必要がある。また耳下腺、顎下腺ともに、一見良性多形腺種のようにみえるが部分的な形状不整、境界不明瞭、内部エコー不均質といった所見を呈する低悪性度の唾液腺悪性腫瘍や多形腺腫由来癌との鑑別が重要となる。

体表臓器超音波診断ガイドブックを主に参考にして勉強して作成しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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